ペットの犬や猫の様子がなんとなくおかしいと感じたとき、病院につれていくかどうか飼い主さんが判断するのは、非常に難しいものです。
実際にはほんの少しお腹を壊しただけかもしれませんが、もしかしたら大病が潜んでいるかもしれないと考えると、不安になるでしょう。
そんな飼い主さんの不安を解消してくれるのが、動物のオンライン相談です。
ここでは、動物のオンライン相談の方法やメリットなどを紹介していきます。
この記事の目次
動物のオンライン相談とは
動物のオンライン相談とは、インターネットを通じて、飼い主さんが獣医さんにペットのことについて相談ができるシステムのことです。
通院の必要がなく、自宅や外出先などからでもペットについて相談ができるので、非常に便利です。
オンライン上で本当に動物の状態がわかるのかと疑問を持つ方もいると思います。
軽度な症状であれば、7~8割は典型的な病気によるものであり、ビデオなどの映像に加えて年齢・性別・生活環境・病歴などを問診することで、通院の必要があるかないかを高い精度で判断することが可能です。
オンライン相談とオンライン診療の違い
動物病院のHPを見ると、オンライン相談とオンライン診療が一括して語られている場合がありますが、両者には大きな違いがあります。
オンライン相談は、あくまでもペットについての不安や悩みを獣医さんに相談することが目的です。
獣医さんの対応も、飼い主さんの話や画面上での動物の様子などを判断材料として、ごく一般的な獣医学的情報を提供したり、動物病院で受診する必要があるかのアドバイスを行ったりするものに留まります。
病状を確定するなど、医学的な判断を伴う行為はしません。
一方、オンライン診療とは、獣医さんがインターネット上でリアルタイムに診断結果を確定させて、薬の処方などを行うことです。
現在の法律では、基本的に初診でのオンライン診療は認められていません。
以前に対面での治療の経験がある場合にのみ、オンラインでの診療が可能となっています。
オンライン相談の方法
動物病院で行われているオンライン相談には、主に次のような方法があります。
SNSやメールを活用する方法
従来の方法が、SNSやメールを活用したオンライン相談です。
ペットに気になる症状などが出たとき、獣医さんにSNSやメールで様子を伝え、受診の要不要や簡単な対象法などについてアドバイスをもらいます。
SNSやメールは、気軽にコミュニケーションがとれるという点で優れていますが、仕事が忙しいときなどは回答が遅れてしまうことがあり、リアルタイムでのやりとりにはあまり向いていません。
チャットを活用する方法
サイトにチャット機能がある動物病院ならば、チャット上でペットの相談ができます。
チャットであれば、リアルタイムに近いコミュニケーションが可能です。
営業時間外であっても対応してくれるケースが多いので、緊急性が高いときも安心です。
画像を添付できるチャットツールならば、ペットの状態をより詳しく伝えられるというメリットもあります。
ビデオ通話機能を活用する方法
近年、多くの動物病院に導入されているのが、スマホやPCのビデオ通話機能を活用したオンライン相談です。
たとえば、飼っている犬の歩き方が少しおかしいと感じたとき、ビデオならば獣医さんが自身の目で歩き方をチェックできるので、より正確な判断ができるようになります。
オンライン相談のメリット
オンライン相談を導入することは、動物病院と飼い主さんのどちらにも多くのメリットがあります。
飼い主さんのメリット
オンライン相談を利用することで、飼い主さんには次のようなメリットがあります。
コロナなどの感染症の予防
オンライン相談は従来の対面式のペット相談と違って、動物病院に足を運ぶ必要がありません。
待合室でほかの飼い主さんと接触することもないので、コロナやインフルエンザなどの感染を防げます。
ペット相談を目的とした来院者が減ることは、病院スタッフへの感染予防にもつながるので、病院側にとってもメリットと言えるでしょう。
移動に伴う負担を軽減できる
動物病院が近くにない場合、時間帯によっては移動の手段が確保できず、利用したくてもできないこともあるでしょう。
また、タクシーを移動手段として利用すれば、費用もかさんでしまいます。
こんなときでも、オンライン相談であれば、自宅にいながら獣医さんにアドバイスを求めることが可能です。
移動に伴う時間や費用は、一切かかりません。
通院によるストレスがない
ペットにとって、動物病院への通院は大きなストレスとなることもあります。
飼い主さんならば、動物病院の前に来るとペットが急に歩くのをやめてしまったり、リードを引っ張っても病院の中に入りたがらなかったりするという経験がある人も多いでしょう。
また、乗り物に乗ることを嫌がる動物も多く、車や電車に乗せると落ち着きがなくなったり、ビクビク震えてしまったりすることもあります。
体調のよくない動物にこのようなストレスを与えることで、状態がさらに悪化してしまうことも考えられます。
まずはオンラインで相談し、通院の必要がないとわかれば、動物に無駄なストレスをかけずに済むでしょう。
遠隔地の動物病院にも相談できる
ペットに慢性的な病気がある場合、その病気について専門的な知識を持つ獣医さんに相談したいという飼い主さんも多いでしょう。
そうすることで、より効果の高い治療の情報を知れるかもしれないからです。
そのような信頼できる獣医さんが近くにいればいいですが、遠い場所であれば、対面での相談は物理的に難しいと言わざるを得ません。
しかし、オンラインであれば、どんなに離れた動物病院であっても相談に乗ってもらうことが可能です。
新しい治療法のアドバイスをもらえるチャンスも増えるでしょう。
動物病院のメリット
オンライン相談を利用することによる動物病院側のメリットは、次のとおりです。
混雑を解消し待ち時間を減らせる
オンライン相談を導入することで、飼い主さんに来院が必要かどうかを伝えれば、待合室の混雑を緩和することが可能です。
本当に治療が必要なペットに、十分な治療時間を割けます。
逆に、オンライン相談を導入していない動物病院では、本来通院が必要のないペットの対応に追われることになります。
待合室が混雑して、飼い主さんの待ち時間も長くなってしまうでしょう。
今の時代、このような状況はSNSなどを通じてすぐに伝わってしまうので、病院の評判も悪くなってしまいます。
新規の顧客を獲得できるチャンスが増える
この程度の症状ならば、普段は動物病院に連れて行かないというケースでも、オンラインという気軽さからアクセスしてくる飼い主さんも少なくありません。
このような飼い主さんに対して真摯に相談に乗り、しっかりとした回答を行うことは、信頼性を高めることになりますし、相談者の満足度の向上にもつながります。
今回は通院の必要がなかったとしても、次にペットの健康に問題が出たときに「あの獣医さんなら信頼できる」という理由で、病院を利用してくれることもあるでしょう。
オンライン相談の課題
これまで見てきたように、オンライン相談には多くのメリットがありますが、より効果的なものとするためには次のような課題もあります。
オンラインツールに不慣れな人には使いづらい
オンライン相談を行うためには、ZoomやLINEなど必要なアプリをインストールするところからはじめることになります。
しかし、スマホやPCに不慣れだと、アプリをインストールすることさえ敷居が高いと感じ、利用をためらってしまうかもしれません。
相談の手段をオンラインだけに限定してしまうと、不便を感じる飼い主さんも多いので、電話でのサービスなど複数のチャネルを用意することが重要です。
快適な通信環境を整備するために費用がかかることも
ビデオ通話機能を活用したオンライン相談の場合は、通信量も大きくなるので、十分な帯域がないと画面が止まってしまったり、コマ落ちしてしまったりすることがあります。
これではペットの様子を十分に観察できないので、満足のいくアドバイスを行うことも難しくなってしまうでしょう。
多少のコストがかかることになっても、快適に通信できる環境を整えることが大切です。