オンライン接客とビデオ通話のノンバーバルな関係

オンライン接客には欠かせないとされるビデオ通話機能。人は言葉を使って会話をしますが、言語のみで伝える情報量には実は限界があります。手紙やメールや電話だけでしかコミュニケーションが取れないと想像したら、皆さんもそこには同意いただけることでしょう。

オンライン接客でビデオ通話を使用するときにも、この「非言語(ノンバーバル)」のコミュニケーションをいかに発揮させるかがオンライン接客の成功の分かれ道になると考えられます。ビデオ通話の果たす役割は何か、そこにどんな秘訣が隠されているのでしょうか?

非言語コミュニケーションとオンライン接客

「Zoom疲れ」から考えられるビデオ映像の影響

2020年春、コロナ禍で人々が外出を控え、リモートワークやオンライン授業が主流となり始めたころ「Zoom疲れ」という言い回しが流行しました。それに伴い、Zoomで開催される講演や授業において「スピーカー(話し手)以外の人はカメラをオフにしましょう」といったオンラインでの「お作法」が一般化していきました。

これは、人がいかに視覚的な情報を手掛かりにものごとを読み取り、理解しようとしているか、ということの証明に他なりません。Zoomの参加者が全員マイクをミュートにしても、話し手以外の人のビデオの映像が映っていると邪魔になりそう、という感覚は、誰もが抱くのではないでしょうか。

「メラビアンの法則」に基づくビデオ映像の情報量

一般的に「メラビアンの法則」として知られる下記のデータがあります。

  • 視覚情報…見た目、身だしなみ、表情(視線)など…55%
  • 聴覚情報…声の質・大きさ・速さ(テンポ)…38%
  • 言語情報…話す言葉そのものの意味…7%

上記のデータは、1970年代にUCLA大学のアルバート・メラビアン博士が行った「矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方」についての実験、および、メラビアン博士の1971年の著書『Silent messages(邦題:非言語コミュニケーション)』における調査に基づく数値です。

「メラビアンの法則」あるいは「7-38-55のルール」と呼ばれるこのデータを見ると、人は、純粋に言語のみの情報からは7%しか意味を理解していないという法則があるということがわかります。話し方、抑揚や声量などを加えても38%。音声のみだと半分以下の情報量しか受け取れないということになります。

その一方で、視覚的なジェスチャーや表情からは55%もの情報を読み取っているということが分かります。

オンライン接客でのビデオ映像について考察する

誰かとコミュニケーションを取ろうとするとき、視覚的にこんなにも多くの情報を私たちが受け取っていることに驚いてしまいます。

コミュニケーションにおいて相手が自分の伝えた内容を理解しているかどうかの判断は、言語コミュニケーションのみに頼っているのではなく、相手の表情や姿勢、視線の動きなどのさまざまな手がかりを受け取っています。

たとえば私たちが何かを説明しているとき、相手が「分かりました」と言っているのに目が泳いでいたら、「ああ、伝わらなかったな」と無意識に判断して説明をかみ砕いて、より分かりやすくしようとしたりします。

これは、オンライン接客での顧客対応においても同じようなことがいえます。
コールセンターの電話対応だけでは不十分な情報が、オンライン接客のビデオ通話には可能です。

オンラインこそ非言語コミュニケーション活用

ビデオ通話で視覚情報を十分に伝える

非言語(ノンバーバル)コミュニケーションに含まれる情報には、視覚と聴覚によるものがありますが、なかでも視覚的な情報が相手側に伝える情報量の多さは前述のとおりです。

アメリカテキサス大学名誉教授でコミュニケーション研究者のマーク L.ナップ氏は、ノンバーバルコミュニケーションを7つに分類しています。

  1. 身体動作:身振り、姿勢、顔面の表情、視線、目の動き、まばたき、瞳孔の収縮など
  2. 身体の特徴:容貌、スタイル、頭髪、皮膚の色、体臭など
  3. 接触行動:タッチング(相手に触れる)、握手、抱擁するなどの身体的な接触
  4. 近言語:音声の音響学的な特徴、泣き・笑い、間投詞(ああ、ちょっと、はい)など
  5. プロクセミックス:対人距離、パーソナルスペース、縄張りなど
  6. 人工物の使用:服装、装飾品、化粧など
  7. 環境:インテリア、照明、温度など

これらの中で③④⑤あたりの解釈は、国や文化による違いがありそうだとも考えられますが、そこを加味したうえで表情や態度を意識することが必要です。

相手が話をしているときに、こちらのうなずきやあいづちが足りないと「聞いてくれていないのかな」という印象を相手に与えてしまいます。また、同じ「ありがとうございます」と言葉を発したときに笑顔を足すと、その言葉が相手側にポジティブに伝わるということも、経験的にお分かりになるのではないでしょうか。

非言語コミュニケーションを活かしたオンライン接客とは

非言語(ノンバーバル)コミュニケーションを活かすことで、以下のような効果が期待できます。

ビデオ通話を使ったオンライン接客で、これらはどのように活かすことができるでしょうか。

①良好な信頼関係を築く
②言葉を補完する
③相手の気持ちを読み取ることができる

①信頼関係の構築

オンライン接客中は、笑顔でカメラ目線(相手は目線が合っているように感じる)、あいづちをしっかり打つなど、ポジティブなノンバーバルコミュニケーションを積極的に発信しましょう。相手との信頼関係の構築に役立ってくれます。

※互いの音声の遅延が気になる場合は、あいづちは声を出さずにうなずきだけで表現をすると良いでしょう。タイミングの合わないあいづちは、かえって相手の話したい気持ちが削がれてしまいます。

②伝えたいメッセージを補完する

ビデオ通話の映像を通して、話の内容に伴ったジェスチャーを使うことで、より明確なメッセージを送ることができます。例えば、怒りを伝えたいときに、声のトーンを低くし、体の前で腕を組むといったような方法があります。

③相手の気持ちを深く理解する

相手が発した言葉だけでなく、表情やしぐさなどのノンバーバルコミュニケーションをよく観察しましょう。相手が何をかんがえているのかを深く理解することができます。例えば体を揺すったり、ため息をついていたり、言葉には出していない要素が相手を理解するカギとなります。

まとめ

コミュニケーション・スキルの重要さは、接客をする人であればよく理解されていることと思います。オンライン接客においてもそれは同じです。特にノンバーバルコミュニケーションを効果的に使うことで、良好なコミュニケーションをとることができます。

ビデオ通話のあいだ、相手にどのような印象を与えているか。これらに十分に注意して、相手に合ったコミュニケーション方法や好感を持たれるような表情や態度を取り入れていくことが大切です。

オンライン接客に積極的にノンバーバルコミュニケーションを取り入れ、成果につなげていきましょう。