現代社会は発達した技術をもとに、さまざまな効率化を実現しています。
リモート接客などもその一例といえるでしょう。
従来は、店舗に人がいなければ接客はできませんでした。
しかし、リモート接客ならば、店舗に人がいなくても対応できます。
今回はリモート接客とはどんなものなのか、そのメリットは何かを解説していきます。
この記事の目次
続々と増えていくリモート接客
コロナ禍以降、在宅で仕事を済ませようとする流れが一般化しています。
たとえ感染症がなくても、従来のような仕事スタイルは多かれ少なかれ問題を抱えていました。
たとえば、電車や車などで会社に通勤するのは、それだけでも時間のロスです。
通勤退勤の時間を削り、すべての業務を在宅で行えれば、より効率化できるようになるでしょう。
とはいえ、接客業でこうしたリモートワークを行うのは、なかなか困難でした。
接客業は通常、人同士の対面で行われるものです。
現実上でのコミュニケーションにしかできないこともあり、それらをフル活用してこそ接客はやりやすくなります。
なにより「オンライン上で接客をされるのは何となくいやだ」という顧客も多くいるでしょう。
もっとも、コロナ禍でオンライン上でのやりとりが増えたことによって、少しずつそうした抵抗感もなくなってきました。
これを機に、さまざまな方面において、オンライン上のみでやりとりを完結させるリモート接客を導入する業界も増えてきました。
リモート接客は人がいなくても可能?
リモート接客には、二種類のタイプがあります。
一つは有人型のリモート接客、もう一つは無人型のリモート接客です。
ここからは、二つのリモート接客の特長を見ていきましょう。
人が遠隔で対応する有人型リモート接客
たとえば、店舗などに大型のスクリーンを用意し、顧客が呼び出しするとスタッフが画面に映って対応してくれるといった、接客システムを見たことがある人もいるでしょう。
これは、有人型リモート接客の代表例といえます。
こうしたリモート接客は、店舗に実際にスタッフを配置するのに比べて、細かな接客は行えません。
一方で、諸々の雑務を取り除いて、必要最低限の接客のみを行うので、スタッフ一人ひとりが効率的に業務をこなせます。
最近では、コンビニの無人店舗なども増えてきていますが、ここにリモート接客のディスプレイを置けば、より利用者が便利に買い物できるようになるでしょう。
細かな手順を踏まなければ欲しい商品が手に入らない、この商品の特長を教えてほしいといったケースで役に立つ接客の在り方です。
プログラムやAIなどで対応する無人型リモート接客
最近はAIが発達してきて、人間同様のスキルを持つ分野も増えてきています。
こうしたAIの進化を接客にも活かそうというのが、無人型リモート接客です。
たとえば基本的な接客マニュアルを覚えこませて、顧客が質問してきたら的確な回答を用意するといった形で、接客をしてもらいます。
また、こうしたリモート接客は、AIでなくても簡単なプログラムを組み立てるだけで導入できます。
「パソコンやスマホなどの家電の操作マニュアルで、分からないところがあるので聞きたい」といったケースで、こうした接客スタイルが役に立つでしょう。
リモート接客のメリット
リモート接客を導入することで、どのような恩恵が得られるようになるのでしょうか。
まずは、人件費の削減が挙げられます。
たとえば、店舗を複数展開しているとします。
それぞれの店舗には、最低でも1人いれば、おおむね業務は済ませられるとしましょう。
とはいえ、一店一店にスタッフを1人ずつ置くのは、人件費がかさんでしまいます。
そこで、店舗ごとにディスプレイを設置し、リモートですべての接客をまかなうようにしてみてはどうでしょうか。
さらに、スタッフ1人あたり2、3店舗を担当させ、顧客からの呼び出しがあるごとにリモート接客を任せるようにします。
そうすれば人件費を浮かせられ、より効率的な経営ができるようになるでしょう。
さらには、店舗で働くことは難しいけれど、自宅でなら働ける、育休中の母親をスタッフに招くことも可能です。
人材不足に悩む業界にとって、リモート接客は救いの手となりうるでしょう。
リモート接客でしかできない接客もできるようになる
有人型のリモート接客はここまで見てきたように、ディスプレイで行うのが一般的です。
このディスプレイを使って、より効果的な接客もできるようになるでしょう。
たとえば、顧客が「この商品と似たようなものはないか」と質問してきたとします。
スタッフはすぐさまディスプレイの画面を切り替え、似たような商品を画面に映し出し「この商品ならご要望に応えられるかもしれない」などのアドバイスを送ればいいでしょう。
このように、リモート接客ならではの接客術が編み出せるのも、メリットの一つといえます。
こうした接客をリアルで行おうとすると、スタッフごとにタブレットを配ったりしなければいけません。
さらにスタッフ一人ひとりに対して、タブレットの使い方に関する教育も行わなければいけないので、コストはかさんでいくばかりでしょう。
リモート接客ならそうした部分をカットし、より効率的な業務ができるようになります。
デメリットにも注意しながらリモート接客を導入しよう
リモート接客のデメリットは、初期投資がかかることです。
スタッフの顔を映し出すためのディスプレイも購入しなければいけませんし、スムーズな通信環境も整えなければいけません。
もちろん、こうした初期投資は業務を効率化することで、十分に取り返せる余地はあります。
とはいえ、リモート接客を導入することで得られる利益だけで、初期投資分をチャラにできる自信がないという場合は、十分に検討しなおしたほうが良いでしょう。
そのほか、顧客との密なコミュニケーションができないというデメリットもあります。
一回きりのコミュニケーションならともかくとして、何度もコミュニケーションを行う営業のような業種だと、リモート接客の限界があらわになるでしょう。
リモート接客を導入する際は、このようなデメリットをわきまえたうえで、自分の業種においてメリットを発揮しやすいかどうかを見極めなければいけません。
リモート接客を円滑に進めるコツ
これまで見てきたように、リモート接客は恩恵をもたらす一方で、うまく使わなければ損失を生み出しかねないものでもあります。
とくに、リモート接客中にコミュニケーションの齟齬が起こって、顧客を逃してしまったという可能性には注意しましょう。
そこで、ここからは補足として、リモート接客をするにあたり、こうすればコミュニケーションがうまくいきやすいというコツを紹介していきます。
とくに接客するうえで必要な知識は、あらかじめすべて頭に叩き込んでおくことが欠かせません。
複数のスタッフが勤務する中、店舗内で接客をするとき、分からないことがあればほかのスタッフに聞くことが可能です。
しかし、オンライン上ではそうした助けを求められません。
仮にリモート接客中に分からないことに直面したとして「それは分かりません」といってしまったら、顧客は呆れてしまうでしょう。
そうなれば、せっかくの利益のチャンスを逃してしまいかねません。
こうならないようにするため、リモート接客をはじめる前に、スタッフに対してしっかりと教育を行っておく必要があります。
リモート接客に対して疑問を持っている顧客に対して「なんだ大丈夫じゃないか」と思わせられれば、リピートの獲得にもつながるでしょう。